11月28日
空港は悪天候の為、搭乗時間が1時間も遅れた。
その事を家族に電話しようと思って電話を掛けたが誰も出ない。
日本は夜中の12時なのに、
こんな時間にどこ行ってんねん。
無性に腹が立ってきた。
もういい。
やっと、搭乗できる。
席は事前に予約していたので、今回もトイレに近い通路側。
お隣は老夫婦。
早速飲み物のサービスが始まる。
私は勿論赤ワイン。
隣の老夫婦はビール。
夫婦の会話が聞こえてきた。
「おいお前、睡眠薬飲んだんか?」
「飲んでない」
おー恐ろしい。
なんて会話なんだ。
睡眠薬飲まないと眠れないほど年老いているのに、今から12時間のフライトは大丈夫か。
睡眠薬も飲んで、ビールも飲んだら、ポックリっていうことないだろうね。
怖いよ、恐ろしいよ、大丈夫なんだろうか。
機内食のサービスが始まった。
わぁー、カレーだ。
もうめちゃくちゃ、美味しい。
日本食ってこんなにも美味しかったんだね。
夫婦はワインを注文した。
もうやめといた方がいいんじゃないか、睡眠薬、ビール、ワイン。
これだけ飲めば、ポックリ間違いなしだよ。
カレーどころじゃなくなってきた。
さっきまで眠かったのに、気になって目が冴えてきたじゃないか。
映画を一本観終る。
それから爆睡。
のはずが、ジジイ、窓のブラインド開けたり閉めたりするんじゃないよ。
パーサーが閉めてくださいって言っただろ。
閉めろよ。
白夜がまぶしくて寝れないじゃないか。
だからブラインド上下するんじゃないってば、モールツ信号送ってんじゃないんだよ。
眠れやしない。
スチュワーデスのお姉ちゃんに告げ口をする。
お姉ちゃんはジジイを叱ったが、わがままジジイはいう事も聞かず、モールツ信号を送り続ける。
そんなに元気なら、ジジイ、ポックリ行くはずもないや。
やっと眠れたと思ったら、今度はババアに叩き起こされた。
「この辺りがジィージィーいうんですけど、何の音でしょう」
そんなの知るわけないだろ。
寝てる人をわざわざ叩き起こしてそんな事聞くな。
結局眠れなかった。
「あなた、学生さん?」
そんなに若く見えたかい。
ババア、ちょっといいこと言うじゃない。
スチュワーデスを呼びつけ「この辺りがジィージィーいうんですけど、何の音でしょう」ってまた始まった、そんなに気になるんだったら私に聞く前に最初からスチュワーデスに聞けばいいだろ。
「テレビの音が漏れてるんでしょうね」って。
だから私もさっき説明しただろ。
あーもうやだ。
12時間のフライトはこんな感じで全然寝れなかった。

無事日本に到着。
麻薬犬が私の周りを何度も往復するけど、私ってそんなに臭い?
同じズボンをはき続けたから?
早く帰ってきれいさっぱりな体になろう。
家族が迎えに来ているはずだ。
あんた、何泣きそうな顔してんだよ。
そっか、私が泣きながら電話したから、心配していたんだね。
大丈夫、このとおり無事だよ。
お腹が空いたから、牛丼食べて帰ろうね。

あとがき

スリや置き引き、詐欺など、いつもながら危険情報で頭がいっぱいで行く前はドキドキしていました。
しかし独りで行動するうちに、「怖くないやん」という気持ちに変わってきました。
英語もフランス語も話せなくても、ゼスチャーと日本語で困っているというのを表現すれば親切に教えてくれるし。
怖くない=安全ではありませんが、気を引き締めて行動すれば大丈夫なんだというのを実感しました。
Yes Noのはっきりしない日本人から見れば、フランス人の態度でムッとする事もありましたが、それもお国柄仕方ない事でしょう。
はっきり言わない私が悪いのですから。
今回は人をゆっくり観察する時間や、景色を見る余裕さえもありませんでした。
パリに2回行ってるのに、未だにルーブル美術館もオルセー美術館も行った事がない。
もちろんマドレーヌ寺院も。
近いうちに渡仏して今度は必ず行くぞ。


この旅行記はノンフィクションです。
私が実際に経験し感じた事をそのまま書いています。
この旅行記を読まれ気分を害された方がいらっしゃいましたら深くお詫び致します。